「ごめんなさい」

「他に言う事は」

「ん? 何?」

ボケ~ッと答えている。イラッとした。

「はぁ~あっ! 美樹は僕に会いたくなかったの?」

「……私も会いたかった。とても」

「どうして、連絡くれなかった!」

「……怖いの! 怖いのよ! 涼真君に溺れそうで!」

言っている事が理解できない。こんなに愛しているのに。

「それが、何故怖い?」

「五十歳で年下の涼真君に惚れて、あなたがいないと生きていけなくなるのが怖いし嫌な の。今まで、頑張ってきたのに! 涼真君といると幸せを感じる。それが怖いの」

何を言っているのか理解に苦しむ。

「意味が分からない!二人でいると幸せなのが怖いって、お互い求めているのが何故いけない!」

「あなたより、十歳も年上だよ。私も十歳遅く生まれてあなたに会いたかった!」

泣いている。

「美樹が僕と同い年だったら惚れていなかったよ。今の美樹が良い!」

抱きしめた。愛おしい。離したくない。

「私も、涼真君を愛してもいいの?」

「僕の物だよ」

むさぼるようにキスした。

「涼真君、会いたかった!」

「僕は抱きたかった。美樹じゃないとダメだ」

しばらく抱き合って泣いた。美樹が、

「シャワーに入ってきて」

僕は、

「先、入って」

と、逃げられたら怖いから、

「二十分したら、僕も一緒に入る」

それは、溺れそうな優しい夜で僕は美樹と離れられない体になりそうだ。僕の方が溺れている。

何だろう? 抱き心地が何とも言えない。朝もくすぐったいほど優しい、愛おしい美樹。