また、彼が病に倒れたときに関わったリハビリの専門職の人が彼にわざわざ2時間かけて会いに来たり、彼の作った詩に曲をつけてバンド演奏したりしていたことを知っていたので、「これだけ人を惹きつけるあなたはだいぶ恰好いいんだよ」と言いたくなってきた。

お菓子の袋詰めや販売で終わる人ではないだろうとも言ってやりたいが(その職業を簡単で誰でもできるものと言っているわけではない)、彼は愛に餓えておかしくなっている。

「抱きしめさせて」の嵐を2日間浴びせられて、私は目の下にクマができて一日寝込んでいた。 

どうしようか、と職場の先輩に相談したら「毅然とした態度で接すると良い、しかし、介護は生活の場であるからその人にとって気ままに過ごせる場所であったらいいんでしょうね、頑張れ」みたいなLINEが(要約するとそうなのだが)、教科書の文章のような文面で送られてきた。君なら分かるでしょう、という感じか。

「よし、受けてたつ。まだ私に頑張れと言うのか。凌辱されてやる。そして悪態をつきまくってやる。その後にあなたの嫌いな上司を敢えて選んで泣きついてやる。彼はさぞかし私を優しく慰めてくれるでしょう。あなたと違って」そう返信した。

私の返答は「狂気が感じられて怖かった」と後で言われたが、それはそうでしょうよと思った。しかし、今そんなことはどうでもいい。

 

👉『はないろ、きみと』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】あの日の夜のことは、私だけの秘め事。奥さまは何も知らないはずだ…。あの日以来、ご主人も私と距離を置こうと意識しているし…

【注目記事】ある日今までで一番ひどく殴られ蹴られ家中髪の毛を持って引きずり回され、発作的にアレルギーの薬を一瓶全部飲んでしまい…