俳句・短歌 短歌 自由律 2020.08.29 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第5回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 美しき 朝の 衝動 花ごろも 花ごろも 胸に 山桃 暖かき 花ごろも 淡き 悔恨 青あらし
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第10回】 水木 三甫 ホテルの入口、ためらいは一瞬で、後はただ身を任せていれば良かった。夫と同じことをしているだけだ。 【前回の記事を読む】硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた彼女の腕の力は抜け…光彦から急な出張が入って帰れないという連絡が入った。淳美は光彦があかねと会うことを確信した。光彦のために自分は尽くしてきたつもりだ。それを裏切ったのは光彦だ。あかねの存在も淳美にとっては大きなストレスになっていた。いつもあかねに操られている自分にうんざりしてい…
小説 『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』 【第19回】 花田 由美子 服の上、黄色い何かにむしゃぶりついた。大きな種と厚い皮の内側の果肉をこそげ落としていると、甘ったるい女の声が… 【前回の記事を読む】「撃たれなかった理由は、白人ではないから?」初めての海外出張で、まだ少年のようなゲリラ兵に銃を向けられ…滝の裏は俺の秘密基地だ! 腹が減っていることを思い出した。食いもん、あるのか? ワニいたら喰ってやる。どこかにいないか?見回し、服を投げた岩に視線を移した。服の上に、何か、黄色い物がある。なんでだ? どこから落ちてきた?そこまで届く枝は上にない。心臓が跳ね出す。再び、幻聴が…