2. 事例を通じて「さて、どうする?」
次に紹介する事例について、読者の皆さんにも似たような経験はないでしょうか。
いろいろなやり方や考え方がありますので、ここで述べていることは、必ずしも最善とは限りません。しかし、参考になりそうであれば、そのまま取り入れていただけるといいですし、他にこのような考え方もあるのではないかと、発想のきっかけを生む教材にしていただくこともできると思います。様々に活用してみてください。
【事例1】
相談内容:「すぐに接種したい。そっちの間違いだから責任を取れ」という新型コロナのワクチン接種に関する相談。
相談者:40代男性
対応者:著者の同僚・著者
対応場面:電話での相談対応
※著者は、この時ワクチン接種促進の対策に携わる保健所の部署に在籍
「コールセンターで案内された日に接種会場に行ったら、別日の予約になっていると言われて接種できなかった。そっちの間違いだから責任を取れ。すぐに接種できるように手配しろ」という内容。2回目の接種だったものの、当時のルールで2回目の接種は、1回目の接種からきっちり3週間空けた後でなければならず、それより前には予約を入れられない電子システムになっていた。
40代男性が接種会場に行った日は1回目の接種からきっちり3週間が経過する1日前で、電子システム上予約の取りようがない日であった。そのため、コールセンターに落ち度がないことは明白。また、その案内されたという電話の音声記録が残っていて、こちらは正しい情報を伝えていたことも判明した。
事例1の問題点の分析(1) このような場面でよく起こること
攻撃的になっている相談者は、何としても自分の言い分を通そうとして、常にマウントポジションを取ろうとします。そのため、こちらの揚げ足を取る、あるいはこちらが不利になりそうな、ひるんでしまいそうなその場とは関係のない話まで持ち出す、などといったことが起こります。
私の場合、後で上の者に告げ口するという目的で、名前を聞かれたり、年齢を聞かれたりと、クレームの内容とは関係のない、こちらの個人情報を聞き出そうとする場面に何度もさらされました。また、同様の目的で、対面であれば名刺を出せと言われたり、携帯のカメラで写真を撮られたりすることもありました。
このように感情的になっている相談者に、正論を伝えても到底受け入れてはもらえませんし、言い聞かせることはとても困難です。
次回更新は4月27日(日)、8時の予定です。
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