第4章 合目的的なる世界

第5項 我々が選び、歩んできた道

3.11震災に起因する原発事故、及びその後の再稼働は、我々が成長と競争力の維持のためにどれ程の無理を払ってきたかをその姿勢ごと明らかにした。それ程の無理を、近代にあっては鉄の意思で為してきた。

合目的的世界の推進は、我々が自ら選び、歩んできた道だ。そして人間は、人工知能という導き手を創り出し、今や意思を要することなく、合目的の名のもとにそれ以上に過酷な競争に身を置くことを容易に可能にしてしまった。

人工知能は合理性を清々しく体現するものであり、その純度の高さゆえに、人間の合理性の質も変えようとしている。我々はこれをこれまでの方向に沿った量的変化の問題と見るべきではなく、質的変化の問題として捉えなければならない。

合目的的進化は我々の文明生活に大いなる利益をもたらしてきたし、これからはより一層に大きな利益をもたらすだろう。我々はその恩恵の対価、代償として、“真の合理性”に殉じる覚悟を今問われている。

我々は真の合理性に耐えうる精神を持ちうるだろうか。

我々は真の合理性に耐えうる精神を持つべきだろうか。