『それじゃ、こちらからも質問させてくださいね』
「もちろんだ。何でも聞いてくれ」
『まず他の乗客の様子が知りたいです。あなたのいる場所から、他のゴンドラの中を見ることができますか? そこ、見晴らしはいいと思うので、わかる限りで人相や特徴、そして何より安否をお知らせいただきたいです』
「ああ、確かに大まかには目視できる」
仲山は、ドリームアイの大きな窓から他のゴンドラを見回した。ドリームアイに連結しているゴンドラは全部で十二、全て同じ大きさで同じデザインだ。そのうちの一つが落下し、今は十一台。つまり十一組のグループが現在もここに閉じ込められている。
「ここから見える乗客の内訳は、カップルが四組、二十歳前後の女性の二人組と男子学生の三人組、社会人風の女性が二人、家族連れと見られる四人組、全員無事だ。
あと、角度的に中が見えないゴンドラもある。そのうち一つは、ドリームアイに乗る前に出会った、ご高齢の男性が一人で乗っているはずだ」
『了解です。皆さんのご様子は?』
「監禁されてからもうすぐ二時間だからな。精神的な疲労が窺える」
『ありがとうございます。よくわかりました。仲山さんも不安な状況でしょうが、どうかもう少し頑張ってください。娘さんも必ず助け出します』
金森のその言葉を待ってから、仲山は深呼吸をした。