自己抑制する能力(自制心)

意外かもしれませんが、自分の欲望をコントロールする力、つまり自己抑制する能力も非認知能力の一つです。

『EQ こころの知能指数』(ダニエル・ゴールマン著 土屋京子訳 講談社+α文庫 1998年)の中から1つのエピソードを紹介いたします。 

マシュマロテストでは、まず、実験者が4歳の子どもにマシュマロを1つ渡します。そして、子どもに対して1つの提案をします。

「これから私は用事があるので別の部屋にしばらく行くが、その間にこのマシュマロを食べてもいいし、私が帰ってくるまで待っていてもいい、ただし待っていてくれたら、マシュマロをもう1個余分にあげる」

子どもはマシュマロをもう1個余分にもらえるという条件で、実験者が戻るまでの子どもにとってはどれだけ長くかかるかわからない時間を待つことができるかどうか試されることになります。

20分ほどの時間、待てる子どもと待てない子どもがいました。

そしてこれらの子ども達に10数年後に追跡調査が行われましたが、マシュマロを我慢できた子どもは高校卒業時の成績が良く対人関係に優れていたという結果が出たのです。

そして、マシュマロテストの結果は、高校卒業時の成績をIQテスト以上に正確に予測できていたと言います。

以上のマシュマロテストで確認したのが、自制心に関する能力で、すでに4歳の段階から自制心の能力に個人差があることがわかります。誰も見ていない状況では、その人の自制心つまり本性が現れます。怖いですね。

さて、この自制心が生まれつきの能力ということであれば、私達にはどうすることもできませんが、皆さんご存じの通り、この能力は自分の努力で伸ばすことができます。

私は幼い頃剣道や空手など武道を習いました。武道の稽古では冷たい板張りの床の上を裸足で稽古します。真冬の稽古はとてもつらかったことを覚えています。きつい防具のにおいや、長時間の板間での正座、稽古中に竹刀(しない)で叩かれる痛み、筋肉痛、最初はそれらを我慢し続けなければなりません。

このような鍛錬を通して、自制心が鍛えられていきます。鍛錬という意味ではどのようなスポーツでも同じです。嫌なこと、逃げ出したいことを我慢するには強い意志が必要ですから、このような鍛錬の時期も自制心を強くするために必要なのだと思います。

 

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