第1章 夫婦の問題
(6)世界一家事・育児、そして介護を分担しない夫
▼大和なでしこの大半が「男は仕事、女は家庭」を容認
話は前後しますが、本項の冒頭で述べた日本国内の夫婦分担の比較研究で、妻の69パーセントが適当と思う以上に自分の分担量が多いと感じていました。それなのに、同じ調査で、日本女性のおよそ半数が、家事・育児の分担量の少ないパートナーを「満足」と評価していることがわかっています。
世界で最も分担の不公平感や不満を“自覚”しているにもかかわらず、一方で、夫に対する日本女性のこの“評価”は驚きです。職場での心身の負担が多い仕事をしながら、夫は家庭でもよくやっていると、妻が心から満足しているのか、あきらめて「これで十分」と納得しているのかどうかわかりませんが、粛々と受け入れている現実が、まだ存在しているのです。
先に紹介した職場スタッフでバツイチの裕子さん(33歳)は、こんなことも言っていました。「家事・育児を分担しない亭主でしたが、たまにゴミ出しなんかしてくれると、心から『ありがとう』と口に出して感謝していました」。さらに、「家族のために働いてくれているのですから、私が我慢すべきだと思ったからですが、振り返れば、手伝ってくれるようにもっと積極的に依頼すべきだったかもしれません。夫婦のコミュニケーションの機会を、結局なくしてしまったのですから」とも。
裏返せば、「男は仕事、女は家庭」の性別役割分業意識が依然根強い日本社会で、男性にとっては、家庭をかえりみず自分の思い通りに仕事に専念できる環境が公然と残っていることになります。
私自身がそんな50代半ばまでの結婚生活25年間を駆け抜けてきました。50代半ば以 後に単身赴任生活が始まりますが、それについてはまた後で詳しく述べたいと思います。