第四章 奇跡の子は渡せない

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漁船は補給を繰り返し沖縄に来ていた。

珊瑚を土砂で埋め滑走路を作るのだという。

無責任な政府は不正や汚職を繰り返し嘘ばかり言う。

創「斉藤茜さん。何故僕に体力が無いの? そんな無敵な細胞なら強靱な細胞であるべきと思うけど?」

茜はお母さんと呼ばなかったことにショックを受けるが、

「創の細胞は未分化細胞になりやすい細胞構造なの。筋肉や肺や心臓も専門的な細胞ではなくいつでも幹細胞になりやすい細胞。だから体力が無いのよ」と言った。

創「僕は蛙から生まれてきたの? 僕の両親は両生類?」

創は自虐的に笑い出した。

茜「ごめんなさい……ごめんなさい」

オスプレイが爆音響かせて上空を通る。

潮風ある山道を歩くとアボカドが実る木々があった。畑仕事している若者がいる。

真之「山本さん。奇跡の子だ。この子をかくまってくれ」

「あいよ」青年は古い板を貼り合わせた家に案内した。

生活感ある家の内部には少女が眠っていた。

「血をこの子に頼む」

創「斉藤茜さん。血の採取」

茜は注射針を創の腕に刺す。

「まあ、部屋は狭いが飯食え」

      

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

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