秀吉
「只今信長様にお伝えしたところ、本心からのお願いならば、特別にお許しくださるとのことでござる。但し、その証としてご嫡男を人質して差し出すこと、供廻りは十人以下とし、即刻京から立ち去ること。以上でござる。拙者が途中までお送りします故、どちらへ行かれるか希望があれば申されよ」
⇒これで室町幕府も終いじゃ……。
義昭
「ウー……三好義継の許へお願い申す」
⇒今に見ておれ、信長め……この恨みは必ず果たして見せる! とりあえずは三好だが、すぐに毛利のところに行き、毛利を立たせ、本願寺顕如や浅井と組んで今一度信長を攻め、今度こそ叩き潰してやる!
秀吉
「上様、義昭公は、部下に命じ、三好家に向けて送らせました」
信長
「うむ大儀。次は小谷の浅井だ、秀吉そちが先鋒で攻略せよ!」
秀吉
「ははっ、畏まって候!」
⇒しめた! 上様の信頼を得た。好機到来だ! 小谷城は儂が必ず攻略せん!
信長
「これで室町幕府は崩壊した。義昭がこだわった元亀の年号をすぐさま改元する! 光秀、村井貞勝と共に朝廷に赴き、新元号を『天正』と改元するよう、朝廷に奏請せよ……」
光秀
「畏まって候。恐れながら、後学のため、その謂われを承りたく、お願い申し上げます」
⇒何事もご自分が主体でないと気に召さない上様であるからして、その趣旨は「天下のことは儂が全て正す」という意味合いもあると思うが、それでは朝廷から反発されてしまう……。
信長
「うむ、老子の言葉に『清静者為天下正(せいせいのものは、てんかのせいたり)』というのがある。つまり、その趣旨は『清く静かなる者が、天下の規範となる』との謂れから来ておる」
光秀
「はっ、誠にありがたく、立派な謂れでございます。早速、観修寺晴豊様に話し、朝廷に奏請して戴きまする」
⇒確かに謂れが明確で良い響きだが、安土城の天守閣を『天主閣』にしたように、何か意図があるのであろうか……もしや、或いは切支丹のデウスと関係があるのであろうか? 例えば藤原道長公の詠まれた「この世をばわが世とも思ふ望月の……」から取って、上様ご本人の時代だとの……いやいや、それはあるまい。
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