マンションみらい価値研究所にて、管理員1700人を対象にアンケート調査を行った結果、認知症の方の対応をしたことがあると回答した管理員は27%に及んだ。
どのようなことに困っているかを尋ねたところ、「指定日以外のゴミ出し」の対応に苦慮しているとの声が多かった。
認知症高齢者は、日時の感覚が失われやすいという。今日は何月何日何曜日か、それが分からなくなる。ゴミ出しは、各行政により、どのゴミを何曜日の何時までに出すのか、細かく決められている。そのため、認知症高齢者はゴミを出すのが苦手な人が多い。
さらに、管理員アンケートにて、指定日以外のゴミ出しがされたときに、どのような対応をしているかを尋ねたところ、多くの管理員が「注意する」と回答した。
認知症高齢者は、ゴミ出しを間違えたことを注意されると「また、失敗してしまうのではないか」とゴミを出すことが怖くなってしまい、部屋の中にゴミをためるようになりかねないという。いわゆるゴミ屋敷になってしまう可能性すらある。これを解決した好事例を紹介しよう。
ある管理員は「声がけ」をするようにしている。朝、玄関前から「おばあちゃん、今日は〇〇ゴミの日ですよ、もう出しましたか、出していいですよ」と声をかける。「今日は出してはダメですよ!」ではなく、「今日は出していいですよ」への転換である。
こうした発想の転換が認知症高齢者への支援には大切になる。もっとも戸数の多いマンションでは、管理員だけではとてもこうした細かい対応はできない。例えば近隣の居住者など、周囲の支援も必要になってくる。
認知症高齢者の症状は実にさまざまであることがお分かりいただけただろう。これからのマンションが取るべき選択肢は「認知症高齢者とともに暮らす」その一択しかない。
認知症高齢者とともに暮らすことのできるマンションだけが、資産価値を維持できると言ってもいい。
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次回更新は1月27日(月)、8時の予定です。
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