第2章 マンション3大トラブル 漏水、騒音、ペット

30年生きている犬 101号室 vs 501号室

放置したままでいると、ようやく解決したはずのペット問題がまた再燃するのではないか。なし崩しにペットが飼育されているマンションでは、今度こそペットを手放せということになる可能性もある。

過去に一代限り飼育可として決着したマンションは、もう一度、届出された書類を確認し、現在も飼育されていないか確認してみよう。 マンションの3大トラブルの根深さをお分かりいただけただろうか。

もちろん、今までに起きた3大トラブルを教訓にして、いくつもの改善は行われている。例えば、床材や給水管の材質や性能は大幅にアップしている。そう聞くと、いつかは騒音や漏水の問題はなくなりそうに思うだろう。しかし、そう簡単にはいかない。

例えば、1990年築の建物が築30年を経過したときと、2020年築の建物が築30年を経過したときでは、2020年築の建物の方が、漏水や騒音の発生率は低いに違いない。それでも、築年数が経過した建物は減っていかない。つまり、どんなに建物の性能を上げても、トラブルの絶対数は増加し続けている。

ペット問題は、解決したように見えてまた再燃のきざしがある。

3大トラブルを巻き起こしているのは「人」である。人の行動や考え方を変えないと、いつまでもなくならない。

第3章 認知症高齢者の増加が止まらない

「マンションに住む認知症高齢者の困ったエピソードはありますか?」

よく聞かれる質問である。

相当に症状が進んだ方の事例をセンセーショナルに取り上げ、「そんな人がいるマンションには住めませんね、皆さん迷惑しているでしょう。認知症高齢者にマンションを出ていってもらうにはどうしたらいいですか?」などという極端な質問につながることもある。

本人とその家族以外の人にとっては、認知症はまだ他人事であり、マンションにおいては排除の対象となっているようにも思う。

しかし、内閣府の調査によると2012年は認知症患者数が462万人と、65歳以上の高齢者の7人に1人であったが、2025年には約700万人、5人に1人になると見込まれている。もはや、認知症高齢者の居住していないマンションはないと言っても過言ではない。

認知症高齢者を排除しようとするなら、マンションに住むことができる人などいなくなってしまう。