漏水事故対応サービスはない 302号室 vs 402号室
302号室
洗面所の天井や壁に茶色い「しみ」のようなものができた。そっと触ってみると、じっとり濡れている。漏水か? 早速、管理会社に電話した。担当者と名乗る人が出てきた。
「上階からの漏水の可能性があります。上階の方に連絡してみます」そう言われてから何日も経過している。あの担当者は本当に連絡してくれたのか。疑心暗鬼になる。
とうとう、水滴がしたたり落ちるほどになってきた。怒りが増幅する。ようやく、上階の居住者とやっと連絡が付いたと担当者から電話があった。上階の人の話では「水をあふれさせたりしていない、何も思い当たることはない」という。
ではこの漏水は何なのか。
さらに詳細に調査しますと言われ、また何日か経過した。得体の知れない水が不気味だ。もし、これが排水だったらどうなるのか。自分は毎日、上階の人の排水、つまり、汚物にまみれていることになる。
どんどん怒りが増幅する。
それからまた何日かして、ようやく担当者から連絡が来た。「調査の結果、上階の洗面所の床下にある給湯管にピンホールがあいており、そこから漏水しています」という。
とりあえず、排水ではないようだ。少しほっとする。後は一刻も早く修理してもらうだけだ。「原因が特定できたのなら、すぐに直してくれたのですよね?」そう聞くと、思いがけない回答がある。
「今は応急処置に留まっています。給湯管の工事の実施には、上階の住戸がお湯を使えなくなるなど生活に支障が出ますので、上階の方と工事会社との日程調整が必要です。
また、修理の前に見積書を作成するために別の日程調整も必要です。すぐというわけにはいきませんが、できる限り……」頭に血が上って、担当者の声が聞こえない。
上階の住戸の生活に支障? それなら自分だって生活に支障が出ている。怒りが爆発する。
「上階の給湯管をすぐに直せ。この部屋の内装を全部やり直せ。慰謝料も請求してやる!」
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次回更新は1月19日(日)、8時の予定です。
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