第一章 あなたの知らないマンションの世界

マンション特有のオキテ

オキテ1  部屋の中にあっても全部が自分のものではない

床下にある給水管などは、その逆だ。よほど大きなリフォームをしない限り、床下をめくって給水管の配管を見ることはない。しかも、給水管が古くなって穴があき、漏水するようなことがあれば、下の階の部屋にも影響が出る。

それなら共用部分であってもいいはずだ。しかし、床下にある給水管は専有部分、つまりあなたのものなのだ。

もっと不思議なのは窓ガラス、物理的には1枚のガラスだ。しかし、内側は専有部分、外側は共用部分とされていることが多い。ガラスを2枚に剥がして使用するということではない。

例えば子供が兄弟げんかをしてガラスを割るなど、内側から割れた場合は居住者の責任で修理しなければならない。

反対に、台風で近所の看板が飛んできてガラスが割れた場合など、外側から割れた場合は管理組合の責任で修理することになる。なお、この場合は加入する火災保険で対応できる。物理的には1枚の窓ガラスを専有部分と共用部分が混在しているかのように規定しているのは、こういう合理的な理由があるからだ。 

他にも専有部分なのか、共用部分なのか、その境界線が曖昧なものはたくさんある。玄関扉、インターホン設備などに至っては、マンションによって区分が違っていたりする。

例えば、インターホンが故障して「ピンポン」が鳴らなくなったとしよう。あるマンションでは所有者が修理費用を支払うが、別のマンションでは、管理組合が修理費用を負担するということになる。

何も考えずに自分で支払ってしまうと、実は管理組合の費用負担で対応してもらえたかもしれないこともある。自分の住むマンションの区分がどうなっているのかは、きちんと把握していないと思わぬ損をしてしまう。その区分は「管理規約」を見ると分かる。部屋の所有者には一冊ずつ配られているはずだ。