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結果はいつも同じだった。ウイルスは特定の臓器や手足などを作り出すが安定しない。

安定した臓器でなければ買い手はない。

健志郎も茜も疲れ果てていた。

スポンサーからの催促の電話。

……疲れているというのに電話は遠慮がない。いっそ電話線を切ってしまうか?

茜「ねえ、受精卵のストック無いわよ。言ったのに注文してないの?」

健志郎「……もう研究資金が尽きたんだよ。もう終わりだ」

2人が何も言わず片付けをしようとしていたとき茜が大声をあげる。

茜「ねえ、これ見て」

健志郎「どうした? もう終わりだよ。片付けだ」

茜「ウイルスRNAが変異しているわ。まるで安定化しているみたい」

健志郎「もう受精卵の在庫は無いぞ」

茜「1つだけ残っていたわ。ラストチャンスよ」

健志郎「やるぞ。ラストチャンス」

寝ていない。ラストチャンスの結果を見るまで寝れるものか。

  

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