第二章 高校留学準備
渡航準備
学生ビザ(F―1ビザ)はアメリカ大使館へ出向いて直接申し込みをすることになりますが、学生ビザ取得のための面接の際にはI―20を持参する必要があります。
当然アメリカで受け入れる学校の許可証が無いと、学生ビザの申し込みはできません。陽介の場合、基本的にはフェアモント・プレパレートリー・アカデミーの入学許可書を持参するのが前提ですが、I―20に関しては入学が夏ということで、ハイスクールでの発行はまだ先になります。
そのため五月から入学までの期間は、オレンジカウンティの中のコスタメサというところにある、日本でもお馴染みだったジオスという英会話スクールに入学し、事前に英語の勉強をすることにしました。
したがって、そこが発行するI―20をもってF―1ビザの申請をすることとなりました。
留学エージェントAの手配により F―1 ビザの申請にアメリカ大使館に向かいました。大使館に到着するとオープン三十分前にもかかわらず、五十人ほどの長蛇の列ができていました。
平日の朝からこうして人がたくさん並んでいるということは、おそらくアメリカのビザ申請者が、あまたある外国の中で一番多いのではないかと思われます。
オープンの時間となり、順次列が進んで行き、やがて我々の番が来ました。9・11のテロの影響なのか、それ以前からなのか、入り口では空港のそれを彷彿とさせる厳しいセキュリティチェックが行われていました。
無事中に入り、申請書を提出して順番を待っていると、銀行の窓口のようなブースがいくつもあり、担当官がそれぞれのブースでビザ発給のための面接をしていました。
自分の順番が来る前に他の人の状況を何とはなしに見ていると、二歳くらいの男の子と四歳くらいの女の子を連れた三十代の夫婦が呼ばれたり席に戻ったりしていました。
聞くともなしに聞こえてくる担当官の話によると、旦那さんが以前アメリカでオーバーステイ(不法滞在)をしたことについて触れていました。
推測するに、家族四人でハワイかアメリカのどこかに旅行をする予定だが、おそらく旦那が昔、若気の至りでオーバーステイをしたことを旅行代理店に話したら、「現地到着後に空港のイミグレーションで、入国拒否になる可能性があるので、事前に観光ビザを取得してから行った方が安心なのでは!」
というようなアドバイスを受け、それを元にビザ申請に来ているのではないのかと思いました。