「よろしくお願いします」
「貴女(あなた)、歌は好き?」
唐突な質問に戸惑いながらも、
「はい、好きです」
「それはよかったわ。ねえ、合唱部に入らない?」
「合唱部ですか?」
「そう。本科生は音楽部までだけど、専攻科になると合唱部に入れるのよ」
「でも、私、合唱なんてしたことがないですし」
よく光る目は朋を離れることなく、
「大丈夫よ、合唱部に入る人はたいがいそうだから」
「でも、私、楽譜も読めないし」
「楽譜なんて読めなくても大丈夫よ、だからいいでしょ。放課後に部の見学ができるの。
一緒に見に行こう!」
「はい……」
「じゃ、授業が終わったらここで待っていて、迎えに来るわ」