【前回の記事を読む】戦争の役に立つから、合唱部は存続をゆるされた。―学校生活が戦争に染まり、体育系の部活でさえコートが畑になり休部する中…この時期の合唱部の目標は、六月に行われる演奏会『夕(ゆう)べ』だった。『夕べ』は正式には『たちばなの夕べ』という名前だったが、部員たちは短く『夕べ』と呼んでいた。〝たちばな〞は県女のシンボルで、校章は橘(たちばな)の実をあしらったものだし、校歌にも歌われている…
[連載]しあわせについて
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小説『しあわせについて』【第5回】杉野 六左衛門
定規で五本の平行線を引き、オタマジャクシを一つ一つ写す。市販の五線紙は高価で、このころは手に入れにくくなっていた。
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小説『しあわせについて』【第4回】杉野 六左衛門
戦争の役に立つから、合唱部は存続をゆるされた。―学校生活が戦争に染まり、体育系の部活でさえコートが畑になり休部する中…
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小説『しあわせについて』【第3回】杉野 六左衛門
軍需工場へ勤労動員に出ている二年生に代わって、特別に三年生が一年生を指導をするという。
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小説『しあわせについて』【第2回】杉野 六左衛門
「三つの歌声の調和がこんなに美しいとは…」初めて本式の女声三部合唱を聴き胸が震えた
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小説『しあわせについて』【新連載】杉野 六左衛門
家族はみんな忙しくて、姉ちゃんは私に無関心。だから育ての親は、ばあちゃんだった。綺麗で優しくて、私は大好きだった。