そして、大学ってすげえなーと思った。とにかく、僕の恋は告白もせずに終わったわけだが、その後も普通にグループ交際は続くわけで、ぼくも割り切ろうとは決めていたが、なんとなく亜里沙と同じ場にいることが苦痛になってきた。

こういうとき、男は女よりもはるかに弱くて、まあ亜里沙は僕のことは別になんとも思ってなかったからなんだろうけど、普通に僕らの前でも彼氏の話をしたり、大学内をみんなに見せつけるように彼氏と歩いてたりしていたし、デートやセックスの事実自体本当に記憶から消してるんだろうなという立ち振る舞いだった。

でもそろそろ限界かもなーというタイミングで、新一郎も彼女と別れた。どうやら喧嘩別れだったようで、それをキッカケに僕らとその農学部一軍女子グループは疎遠になった。

僕は正直ほっとした。はたから見れば可愛い子グループとのグループ交際という羨ましい状況だったかもしれないが、亜里沙の件があってからは苦痛でしかなかった。

僕はもっと強くなろうと思った。

遊ばれる側じゃない、僕が遊ぶ側にならないと。僕が当初思い描いた大学デビューは、女の子にモテモテで女の子をとっかえひっかえするくらいの大プレイボーイになることなんだ。

「コンパしようぜーコンパ。オレ、もうフリーやけん」

新一郎は彼女と別れたというのにケロっとしていた。僕はまだ亜里沙のことを思うと胸が痛むのに、新一郎はまったくそんなことないみたいだ。あれだけ可愛い彼女だったのに別れた理由も、彼女のセックスのときの喘ぎ方が嫌だとかいう嘘みたいにしょうもない理由だった。

新一郎くらいの遊び人になれば、失恋の痛みも感じることもなくなるのだろうか。

「バイト先の焼肉屋にさ、2個上の看護大のお姉さんたちがよく来るんやけどさ、今度コンパしよーって話になったからさ、しよーや。みんな美人やで。ミスコンにも出てるらしい」

「マジ? もちろん行くわ」

僕は新一郎の誘いにすぐに飛びついた。

そこから僕は、亜里沙のことを忘れるように新一郎とコンパに明け暮れた。コンパだけじゃ足らず、ナンパやミクシィなんかでも出会いを求めた。

村崎や隆志はバイト先で、別で彼女ができたようであまりそういう場に来なくなったが、僕と新一郎は遊びまくった。

【前回の記事を読む】「マジでー! ださっ!」昨晩の彼女との出来事を話すと、笑われた。大学生活はおしまいかもしれない、だがそれどころではなかった......

次回更新は12月30日(月)、18時の予定です。

 

【イチオシ記事】遂に夫の浮気相手から返答が… 悪いのは夫、その思いが確信へ変わる

【注目記事】静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた