僕の大学デビュー天下取り物語
コンドームの表と裏が分からなくなって、混乱してしまったのも要因だったのだろう。童貞の僕には難しいハードルで、こういうことこそ保健体育の授業で教えてくれておいてほしかった。
そこからなんとか復活させようと、必死にエロいことやこの先の気持ちいいであろうことを思い浮かべながらなんとか自分で頑張るが、もう勃たなきゃいけないというのがどんどんプレッシャーになっていき、僕のあそこは空気の抜けた風船のままビクともしなくなった。それが今のこの情けない現状だった。
「明日朝から海行かなきゃだから、もう寝らんと」
亜里沙が無情にも試合終了を告げる。
サーファーの朝は早い。亜里沙は毎朝5時には起きて、海に出ているようだった。
「ちょっ、もうちょっと待って」
夢にまで見た童貞卒業のチャンスだ。まだ諦めるには早い。僕の頭にはスラムダンクの安西先生の言葉がこだまする。
縦がダメなら横だ! ぼくは色々な角度から自分のモノに刺激を与える。
「もしかして、初めてだった?」
ドキッとした。必死でもがく僕に亜里沙は、僕が一番言ってほしくない言葉を投げつけた。
「な、なんで?」
「いや、なんとなくー」
初めて亜里沙に話しかけた日から、僕はずっと虚勢を張っていた。亜里沙はサーファーのギャルだ。童貞なんか知られたら舐められるかもしれないと、僕は女の子に慣れてる感じで接していた。
でもそれがこうも簡単に見抜かれたのだ。
「いや、別に……高校の時に一回……」
そこまで言いかけて、亜里沙の前でこれ以上の虚勢は無意味だと悟った。そもそも新一郎にも村崎にも、もう童貞ってことはバレてるわけだし。
「童貞です、ごめんなさい」
「なんで謝るん? 別に謝ることじゃないし」
亜里沙が笑う。僕は恥ずかしくなった。とっくに自分のモノからは手は離れてた。完全な戦意喪失だ。
「まあ、とにかく明日早いから。もうお風呂入って寝らんと」
僕はそうだよね、とパンツを履いた。とにかく情けなくて、すぐに亜里沙の家から逃げ出した。
亜里沙の家からの帰り道、僕はとても怖くなった。僕はインポテンツってヤツなんじゃないか、セックスのときこのまま一生勃たないんじゃないか。僕はすぐに新一郎の家に向かった。
「マジでー! ださっ!」
恥をしのんで新一郎に相談すると、案の定新一郎は爆笑して、はやし立ててきた。
「大問題だから! どうすればいいんだよ、これ!」