一、壁
障害
突発性難聴は唯一薬物で治りうるもの、ステロイドの点滴を続ければ、多くは回復する。
ただし、私のような高齢者には効果が期待できない。残念なことにこの時点で私は難聴者の仲間入り、健聴者との間に壁が成立した。
聴覚障害者と社会との壁を少しでも改善するべく、いくつもの方法が採用され、試みられている。
補聴器、人工内耳、手話、電話リレー、その他、多数の方法がある。社会では、手話講習会、サークル、サロンなどで、同障の人が繋がる。いずれも聴覚障害者間の壁をなくしたい試み、社会福祉協議会の役割が大きい。
手話は、現在はテレビなどでも頻繁に放送されており、ニュース、立候補者の立会演説、国会中継などで、重要な時には、手話通訳士が付く。公共施設、病院などにも、手話通訳者が多く見られるようになった。
この傾向は今後ますます強まり、改善されるであろう。手話通訳士には、いくつもの段階で試験があり合格しないと、その役割はできない。厳しい壁をいくつも乗り越えて得られる資格である。
視覚障害者にはより厳しい壁が社会の至る所に存在する。情報の多くは視覚によって得られる。聴覚障害者以上に、得られる情報は少ない。
視覚障害者と社会との間の壁は厳しく、対応としては、道路の点字ブロック、エレベーターの点字、道路横断でのサイン、多くの点字本など、対応は様々であるが、それにもかかわらず、駅のホームからの転落死が時折報道される。その都度、関係者は反省、謝罪、そしてより安全度を上げていく努力をしている。
身体障害者や心の障害者たちにとって、社会との間の壁は大きく、それをできるだけ取り除く方向の施策が取られている。障害者差別解消法などもある。
会社などで障害者を採用する割合が法律で決められている。一方で、障害者も積極的に、社会への参加を求められている。パラリンピックでの目覚ましい活躍、聴覚障害者のデフリンピックは 2025年に東京で開催される予定である。
障害者が事故なしに住める社会を目指す、社会との壁をなくすのが最終目標であり、その過程で色々な方式が考えられている。ユニバーサルデザイン、誰もが暮らしやすい社会を目指した取り組みである。
バリアフリーはその一つであり、障害者も国連サミットで定めたSDGs(持続可能な開発目標)の、共通目標である「誰一人取り残さない」に障害者も組み入れられる。
身体障害者、心の障害者に関する著作は多い。重複障害者ヘレン・ケラーの教育、社会活動など、多くの自伝などでよく知られている(ヘレン・ケラー『奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝』新潮社、2004年)。日本にも2度来られた。日本でも、聾教育、聾学校などの歴史は古くから存在する。