だからと言っていつまでも逃げ回ることは出来ない。五反田のマンションも知られているし、多分、名前も顔も何れ知られてしまうだろう。もう既に知っているかも知れない。
えらい物を手にした!と情けなくなりながら、本当に何て事をしたんだろう! 取らなければこんな事には成ってないのに……反省と後悔が堂々巡りしていた。
疲れた! 何処かでゆっくり休みたい!と心底思った。
此処はもう無理だ!
未だ高級ホテルの方が少しでもセキュリティがしっかりしている気がして、スマホを取り出し、以前行った日本橋のグリーングラスホテルを探し電話をした。
直ぐオペレーターが出たので宿泊したい旨伝えるとフロントに代わり、
「遅くに申し訳ないです。今新橋に居るので此れから泊まりたいのですが一部屋有りますか?」
と聞いた。フロントは、
「ご用意出来ますが、何時頃お見えになりますか?」
と聞かれたので、
「今新橋なので三十分ほどで着けると思います」と答えた。
「承知しました。お名前を戴けますか?」と聞かれ、
「田賀浩です」と答えた。
「有難うございます、田賀様! ではお待ちしております」
と言って電話を切った。