俳句・短歌 短歌 自由律 2020.08.15 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第3回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 稲妻を 受胎し みせる 秘儀のあり 感情の 裏側 見せて 蛇泳ぐ 花水木 いま 剝製となる 眞昼なか
エッセイ 『ある朝、突然手足が動かなくなった ギランバレー症候群闘病記[注目連載ピックアップ]』 【最終回】 市川 友子 殺し屋の看護師たちが私にのしかかっていた。とうとう腰の骨を折られて殺されると覚悟した。 幻覚と現実の交差注射器で毒を打たれそうになり、私は打たれまいと速い呼吸を繰り返していた。「落ち着いて、深呼吸して、ゆっくりと」看護師さんの顔が目の前に見えた。点滴の針を取り替えているところだ。それなのに殺人鬼扱いされたのでは、看護師さんもたまったものではない。私はラジオ局に助けを求めた。病院に監禁されている私と家族を助け出してくれと訴えた。しばらくすると大勢の人が病院を取り囲み、何人かが病院に侵…
小説 『北満のシリウス』 【第17回】 鎌田 一正 「待ってくれ…あんたひょっとして『北満のシリウス』か? 百回近い決闘でも、一度も負けたことがないっていう…」 【前回の記事を読む】「悪いか? 相手は中国人だぞ! 日本人の言うことを聞かない中国人を殴って何が悪い」...少年は右手拳を振り上げて、雪舟に殴りかかった。「何……? セッシュウ……?」雪舟は、少年のところまで、すたすたと歩いて来た。そして少年の後ろ襟をつかんで、無理矢理立たせ、そのまま、御者のところまで引き連れて行った。「謝れ」少年は、御者の顔をきまり悪そうに上目遣いに見ながら、ペコリと頭を下げ…