俳句・短歌 短歌 自由律 2020.08.15 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第3回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 稲妻を 受胎し みせる 秘儀のあり 感情の 裏側 見せて 蛇泳ぐ 花水木 いま 剝製となる 眞昼なか
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第10回】 水木 三甫 ホテルの入口、ためらいは一瞬で、後はただ身を任せていれば良かった。夫と同じことをしているだけだ。 【前回の記事を読む】硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた彼女の腕の力は抜け…光彦から急な出張が入って帰れないという連絡が入った。淳美は光彦があかねと会うことを確信した。光彦のために自分は尽くしてきたつもりだ。それを裏切ったのは光彦だ。あかねの存在も淳美にとっては大きなストレスになっていた。いつもあかねに操られている自分にうんざりしてい…
小説 『愛[注目連載ピックアップ]』 【第3回】 高見 純代 「人間しか自殺はしないわ。犬や猫は自殺しないもの。自殺って、人間を知るヒントになると思うわ」 【前回の記事を読む】あの人が死んだ! 私は体がガクガクとふるえだした。送られてきた包みの中身は分かっていた。だが、恐くてあけられず…「自己紹介が遅れて、すみません。僕は元BBCの記者で、今はフリーのジャーナリストで、CNNと契約しています。名前は神矢敬。四十五歳だけど、独身です。名刺をお渡しするから、気が向いたら電話でも下さい。とにかく、平日のお昼はいつもここに来てるんですね? じゃぁ、ちょくち…