そんな状態で2才になった頃、テレビである女優さんが、愛犬が幼いときに厳しくしかって「かわいそうなことをした」と言われるのを耳にしたのです。

そうだ! クッキーには怒ったことがない。やっぱり、怒らなきゃ!

直ちに方針転換。クッキーが粗相をするや、声を張り上げて「こら! ここでシーシーをやっちゃダメ!」

「シーシーはトイレ!」

「ダメじゃない! 悪い子!」

カアサンの突然の豹変! 剣幕にたじろいでこそこそとテーブルの陰などに隠れる彼女に向かって、カアサンはますますエスカレート。

「こっちに来なさい!」

「そんな悪い子知らない!」

「うちの子じゃないからね!」

と、ひとしきり怒鳴り散らして、妙にスッキリ。

これは劇的でした。カアサンのヒステリーを数回浴びたクッキーは、辟易としたのでしょう、そそくさとケージの中のトイレに向かうようになりました。完璧にマスターするのにひと月はかかりませんでした。以降、失敗はありません。

気づいたことは、クッキーは、トイレ以外でやってはいけないということをしっかりと教えられていなかった、知らなかったということです。どこでもトイレをしかられもしなかったのですから。

2年間の苦労は一体何だったのだろう。

教訓は、YESもNOも、相手にしっかりと伝えるという、ホントに当たり前のことでした。