「スマホのロールプレイングゲームもおもろいですが、バーチャルではなく実在の人物を相手にするゲームの方が遥かにおもろいです。だから現実の世界で所長に目の敵にされている副所長と僕で所長を懲らしめたるんですよ」
「それなら、2人で一緒に考えてみよう」
「副所長。のってきましたね。じゃあ、一緒に考えましょう」
「仕事じゃないので、副所長はやめましょう。角野さんで十分だよ」
「お〜、ますますのってきましたね」
「じゃあ、外に行って相談しよう。営業所内で相談することでもなさそうだし」
「いいですね。どこ行きますか?」
「私がときどき行く定食屋でいいかな」
「角野さん、了解です。さあ、楽しくなってきたぞ」
2人でにしむら家に行って、ビールと定食を注文した。前に座っているのは、水島夕未ではなく、今夜は反田貴司君、ピンクのメッシュ入りの髪の毛の21歳の若者だ。見た目で判断していたより、ずっとしっかりしていることは、食事しながら話をして分かった。
「さて、本題だけど、ギャフンと言わせるにはまず弱みを握ることです。1日の行動の中で誰しも人に知られると困ることはあるだろうから、そこを押さえるのはどうかな」
「いいすね、それ」
「所長はよくセクハラまがいのことをしているようなので、その現場写真をこっそり撮るのはどうかな」
「それで写真をどうするつもりですか」
「所長のボックスに入れておいて無言のプレシャーをかけるとか」
「角野さん、それは甘すぎるんちゃうかなぁ」どうもだんだん友達言葉になってきた。
「というと? 反田君ならどうするんだ?」
「夜中のうちに営業所内のあちこちの掲示板に貼るんですよ。所長が慌てるところが目に浮かぶなぁ」
「それは面白そうだけど、そんなことして大丈夫かな」
「掲示板に写真を掲示するだけやから、問題ないでしょう。ついでに奥さんにも送りつけたろか」
「それは行きすぎだよ。それが原因で家庭内争議が起こったら気の毒だ」僕は自分がしていたことを琴音に報告されてしまうことを想像した。
【前回の記事を読む】「あの所長がいる限り営業所をよくするのは難しいのと違いますか?」若手社員の接近で、所長を陥れる提案。
次回更新は12月18日(水)、8時の予定です。
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