「この後、少し飲みませんか? 営業所のことをもう少し相談したいです」「でも、もう遅いし、また今度にしませんか?」
「え〜、まだ9時前ですよ。高校生ならともかく、2人とも大人ですよ」
「確かに」
「じゃあ、決まりですね。もう遅いから私の部屋に来てください」
「えっ、さっき、まだ遅くないって言ったばかりだよ」
「まだ、9時前だとは言いましたけど、遅くないとは申し上げていません」
「確かに、そうだけど」
「この時間から副所長が女性スタッフと2人で飲んでいるところ、誰かに見られるとまずいんじゃないですか?」
「でも、独身女性の部屋に所帯持ちの僕が行く方がまずいでしょう」
「店と違って、誰かに見られることもありません」
「それはそうだけれど」
「奥さまに怒られますか?」
「わざわざ報告はしません」
「それなら大丈夫ですね」
「そういう問題ではないけれど」
「では、どういう問題ですか? 私は相談したいだけなので、私から誘惑したり、手を出したりはしません。約束します」
「男と女が逆ですね。その約束は」
「角野さんは約束しなくてもいいです。角野さんが手を出したくなったら、私は抵抗しませんから」
「そんなこと言われたら、ますます行けないよ」
「それは手を出さないという自信がないということですか?」
「そんなことはないけれど、僕は結婚して子供もいるし」
「それなら、大丈夫なはずです」
「分かりました。水島さんの屁理屈には負けました。伺って大人しく飲みます」
「わーい、嬉しいです」
【前回の記事を読む】「このお弁当、私だと思って食べてくださいね」鬱状態に沈む中、同僚女性からのアプローチが進む。
次回更新は12月12日(木)、8時の予定です。
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