ピッチャー編
これから「スーパープレイヤー」の「ピッチングフォーム」に詰め込んでいる技術を中心に説明させていただきますが、当然そのプレイヤー以外も、同様の技術を活用していますので、代表的にそのプレイヤーを選ばせていただいていることを、初めにお断りさせていただきます。
「ピッチャー編」の一番初めに紹介するのは阪神タイガースの岩崎優投手です。
(1)岩崎 優投手……バッターに「より短く」投げる
岩崎投手は2013年のドラフト会議で阪神タイガースから6位指名を受け、国士舘大学から入団しました。
2017年から中継ぎとして、シーズン60試合以上の登板を2シーズン続けるなど、チームの屋台骨を支え、2022年、2023年シーズンは最終的に、クローザーとして定着し、2023年シーズンでは60試合に登板、35セーブを挙げ、最多セーブ投手となりました。防御率も2019年シーズンから、2021年シーズンだけを除いて、常に1点台と非常に安定した数字を残しています。
また2023年シーズンまでの通算の奪三振率(奪三振数×9÷投球回数)も8・50と高い数字を残しており、ここぞというときに三振も奪うことができるピッチャーと言えます。阪神タイガースの18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一には欠かすことのできないピッチャーで、その貢献度は絶大です。
バッター制圧の条件
岩崎投手を語るときにその球持ちの良さ(長さ)を外すことはできません。球持ちの良さがもたらすメリットについて、まず触れておきます。
野球は基本的にピッチャーとバッターの勝負です。その中で、ピッチャーがバッターに必ず勝てるというシチュエーションの代表は、「バッターがスイングに掛ける時間よりも先にキャッチャーミットにボールを到達させる」ことです。空振りもそうですが、見送りであっても、このようなシチュエーションに持ち込めればピッチャーが勝利することができます。