「でも、身分保障がしっかりしていて、福利厚生制度が充実した女性の安定した職場が増える事は男女共同参画社会推進上、好ましい事だと思います。私は桜田さんがやろうとしている事は大いに意義のある事だと思います。是非頑張って実現させて下さい」と百合子がエールを込めて言ってくれた。

「賛同してくれてありがとう。私なりに頑張る」と宣言した。そして二人はそれぞれ家路についた。

こうして、桜田の任期制自衛官の制度体験者の調査が進められていった。後日、電話で紹介してくれた如月への報告を済ませ、もう一人のキャバクラ嬢、木本真莉愛への聞き取り調査の日程を調整してほしいと依頼する事にした。

新宿でキャバクラ嬢をしている木本の希望で、以前有名な劇場で現在はゲームセンターや映画館、ホテルが入居する複合型ビルの八階にあるカフェテラスで面談する事になった。

その日、先に指定されたカフェテラスで待つ桜田の前に、如月に連れ立っていかにもという出で立ちの木本真莉愛がやって来た。今回も如月は、二人を引き合わせると直ぐに立ち去っていった。二人は自己紹介し合った後、すぐに本題に入った。

「早速なんですが、自衛隊の任期制に志願された経緯について教えてもらえますか?」と桜田に問われ、照れくさそうに舌を出した後、ニコッと笑って

「ホストに貢いじゃって、三〇〇万円程、借金を作っちゃったの。それでヤバい!と思って吉原の高級ソープに入ってさっさと返そうとしたんだけど、高級店はどこも面接で落とされてしまったんです。

それですっかり女としての自信をなくしてたら、自衛隊の任期制の退職金が目に留まってこれいいかも? と思って受けたら合格したんです。私体力には自信があったんです。高校時代陸上やっていたから……」と自衛隊に入隊した経緯を語ってくれた。

「それで、三〇〇万円の借金は完済されたのですか?」と桜田が質すと

「楽勝でした。衣食住がただなので、任期の二年で四〇〇万円貯めました。それまで散在していたドレスや派手な洋服は一切不要で、迷彩服と迷彩Tシャツ等は支給されるし、ネイルもパーマも不要だし、自衛隊入隊中は風呂上がりにニ〇アのローションをつけるくらいでした」と自衛隊での生活ぶりを話してくれた。

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次回更新は12月2日(月)、8時の予定です。

 

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