僕の大学デビュー天下取り物語
「いいよ。うちも友達みんな、連れてくね」
なんと僕はその一軍女子グループとのコンパをセッティングすることができたのだ。
目論見通りだ。目立ってたら女子は後からついてくる。
次の日すぐにみんなに自慢すると、これには学科の男達がみんな食いついた。我先にメンバーに入れて欲しいと僕に頼んできた。
僕はF4のみんなとあと二人くらいを選び、六人でそのコンパへいった。
そして、そのコンパで順調に僕らは仲良くなり、憧れのグループ交際が始まった。
講義が終わるとみんなで学食に集まり、ご飯を食べた後は、原っぱのベンチに腰掛けてみんなでダベる。大学が終われば、カラオケ行ったり宅飲みしたり。
大学から車で五分で行ける海は、世界遺産にも登録されているとても綺麗な海で、そこにいるだけで開放的な気分になれる。夜になると信じられないくらい綺麗な星空が、世界を覆う。
そんなところでみんなで寝ころび、隣には学部一可愛い女の子グループがいる。
もう言うことはない。全てを手に入れた無敵感。これがオレンジデイズだ。ドラマでしかないと思っていたド青春の世界。
新一郎はそのグループの中でも更に可愛いと言われてた女の子と付き合い、僕はその教習所で出会ったサーファーの子で童貞を捨てた。
ドリームだ。夢を叶えたんだ。
ゴールデンウィークの始まる頃には、僕はもう僕の思い描いてた夢の大学生活を手に入れたのだ。そこからは順風満帆に過ごした。
新一郎が別れて、その一軍女子グループとは結局気まずくなりグループ交際は終わったものの、他の女子グループとも仲良くなり、僕は一軍として大学生活を謳歌していた。
講義中も積極的にボケたり、学食でも誰に気を使うわけでもなく大声で喋ったり、調子に乗って過ごしていた。
まさに楽園だった。コンパもたくさんあったし、女の子ともたくさん遊んだ。ついこの間まで童貞だったのが嘘のようなペースで、色々な女の子ともエッチできた。
口がうまく女の子慣れしている新一郎の隣にいるだけで、それなりにおこぼれがもらえるのだ。リア充とは僕のことを指している言葉なんだなと思っていた。
でもやっぱり人間というのは欲深い生き物だ。全てを手に入れたかに見えて、僕にはまだ欲しいものがあった。
そう、残りの工学部、教育学部の制覇だ。
気持ちはすでに戦国大名。宮崎大学、完全天下取り計画だ。
工学部、教育学部を制覇しようと思ったが、工学部にも僕らと同じように目立っている一軍のグループがあった。
その中心にいるのは、「金髪坊主」。僕らが影でそう呼んでたヤツだ。あだ名そのまま、金髪で坊主。そしてゴツい。隆志くらいケンカが強そうだ。その工学部の1軍のグループも派手に遊んでいるという噂は僕らの耳にも入っていた。
あそこのサークルの可愛い子グループと繋がってるだとか、他大学の女子達とコンパしているだとか。
僕らが街でナンパなんかしたら、「え、宮崎大学なの? じゃあ〇〇君知ってる?」みたいにその工学部グループの男の名前を出されることもあった。僕はそういう話を聞く度に少し気に入らないなと思うようになっていた。
誰かが宮崎大学をまとめないと。
一軍は1つでいいと。