俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.08.12 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第2回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 浅みどり柳の芽ぶく池の辺に 男ら並んで無心に竿振る 裸木の山の芽ぶきの彩ならん 淡きみどりに染まる裏山 縄文の代より咲きつぐ藪椿 風化せぬかたち 花の品よき *藪椿 日本固有種と云われる。
小説 『春のピエタ』 【第18回】 村田 歩 私の妹は、5年前に殺された。高校二年生だった。自宅のすぐ傍で車の中に引きずり込まれて、河川敷まで連れて行かれ… 「早い時間ならお客さんはいないと思ってたのに、本当にすみません」「ああ、いいのよ。若旦那は特別なの。昼の三時には仕事終わっちゃう人だから。それにわたしのお客じゃないしね」意外に屈託のない話し方であたしに座るように促すと、自分も隣に座り、長い手を伸ばした。「ちょっと、あそこの神林さんのバランタインで一杯作って」バーテンの男性に命令する。こういうお店は経営者の次に偉いのはホステスさんなのだろうか。佳…
小説 『迷いながら揺れ動く女のこころ[人気連載ピックアップ]』 【第6回】 松村 勝正 「誰、どうして」…壁一つ隔てた夫の部屋から、かすかに女性の声が聞こえた夜。 【前回の記事を読む】入浴介助中、ラグビーで鍛えたご主人の胸厚の体を擦るのは、異性に接する楽しみの一つだった。――奥様に対して敵対心はないが…結婚を意識した時、悠真さんから「自由に趣味に生きてください」と言われ、マザコンの健吾と別れ一人で生きてゆくと一度は決めたはずだったが、シンデレラ姫のような世界に盲目の内に引き込まれて、ここに自分がいることに違和感を覚えつつ悶々としていた時、美代子は急に花帆に…