俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.08.12 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第2回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 浅みどり柳の芽ぶく池の辺に 男ら並んで無心に竿振る 裸木の山の芽ぶきの彩ならん 淡きみどりに染まる裏山 縄文の代より咲きつぐ藪椿 風化せぬかたち 花の品よき *藪椿 日本固有種と云われる。
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第7回】 春山 大樹 顔面まで焼けただれ、身元不明。いじめ被害の女子高生は、なぜあの公園で灯油を被ったのだろうか。 二〇一四年三月二十三日、月曜日の昼休み、急に教室が騒がしくなった。スマホに衝撃的なニュースが流れてきたからだ。その日の未明午前三時頃、山本公園で火災発生の通報があり消防隊が駆け付けたところ、人が炎に包まれて倒れているのを発見。病院に救急搬送されたが全身に火傷を負っており、意識不明の重体。近くに灯油を入れていたポリタンクが落ちており、焼身自殺を図ったものと思われる。顔面を含め全身が焼けただれている…
小説 『泥の中で咲け[文庫改訂版](人気連載ピックアップ)』 【第11回】 松谷 美善 マッチングアプリで出会った男に騙され監禁。そこには複数の女性がいて、上の階からは「お願い、殺さないで」と懇願する声が… 【前回の記事を読む】マッチングアプリで出会った男性と夜の11時に待ち合わせ。渡された紙コップを一気に飲み干してしまったところ、記憶がなくなり…強い恐怖を感じながらも、あたしは言った。「あたしトイレに行きたいの。それに家に帰りたいわ」男はあたしの頬を一発張った。「逃げられると思うんじゃない。おまえにはいろいろ役に立ってもらわなきゃなんねえんだ」男は手にナイフを持っている。それでもあたしは怯まなかっ…