第二章 ピカデリーホテル
少し静かになった時に、高垣が「隣にいる西田と一緒に私も先日の大変な出来事の場所に居ました」と話すと王子と王女は吃驚した顔をして「怪我は無かったのですか?」と聞いてきた。
高垣は「私と西田は大丈夫で怪我をしたのは翔だけです」と厳しい顔をして話し、手を吊っているボディガードの一人を見て「あの時の怪我ですか?」と聞くと軽く困った顔をして頷いた。
高垣は「本当に辛い一日でしたね!」と言うと、王子が「もうご存じだと思いますが、私と王女はミスターショウさんに助けて頂いたのです」と話した。
高垣と西田は怪訝な顔をして、「王子様と王女様の上に落ちてしまった、とは翔から聞きましたがお二人をお助けしたとは思っても見ませんでした」と驚いたように話した。
すると王子がはっきりと「いいえ! 本当に助けて頂いたのです、ですから是非お会いして心からお礼と感謝を申し上げたいと思っていました」。
王女は王子の話を聞きながらうんうんと頷きながら「お会いして、有難うございます!!を言いたかった」と悲しい顔をしながら囁いた。
高垣が「皆様方お怪我は?」と聞くとカラム副大臣が手を吊っている者を指して「この者とこの部下が負傷したのですが昨日その部下が亡くなりました」と話した。
高垣と西田は、「え!!」と言って吃驚した。「入院されたのは承知していたのですが……そうですか……本当にそれは残念ですね!」と言って辛そうな顔をした。
高垣はフッと思い、つい口にした。
「このような事を申し上げるのは国を背負って動いておられる方々に大変失礼ですが、亡くなった方がおられると聞いて少し立腹しています。
劇場で襲った者達の目途について何か有りませんか? 私達商社は、沢山の方々と取引していますので色んな情報が入って来ます。何かお手伝い出来る事が有れば是非お申しつけ下さい!」と言った。
カラム副大臣は、「全く見当が付いていません! 勿論王子もですが、警察も犯人を追っていると思うのですが……私達自身も動いて何とか掴まえたいと考えています」と厳しい目をして話していた。
そしてお互いの国の事を少し話しお開きとなった。
王族からは沢山のデーツと種類の異なる多くのお茶を頂き、玄関まで高垣と西田がお送りし、途中王子と王女が何度もショウ様へ是非お会いしたいので宜しくお願いします、と懇願された。王子達は車を連ねホテルへ帰って行った。