俳句・短歌 句集 母娘 2020.08.12 句集「地雷の如く」より三句 地雷の如く 【第4回】 馬場 美那子 母ひとり、娘ひとり、恋たくさん。 「おひとりさま」とその母の13年を綴るドラマティック川柳句集。 自由奔放にたくさんの恋をしてきた「おひとりさま」な娘。たったひとりの肉親である母は、夫に先立たれて長かった。 ほかに身寄りのない二人なのに、喧嘩して、諦めて、また喧嘩して。恋はすれども、母は捨てられぬ。母への情愛と異性への恋心との狭間で揺れる心情が、おかしみと哀しみを込めながら五七五の17音字に込められた「絆」の物語。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 欲望の落し子泣いて生まれけり あの眉のピクつく斜度の憎たらし 胃の奥の一寸法師ペンを持ち
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『普通の男、浩狙われる!』 【第5回】 上山 照 男が狙う鍵付きブリーフケース…中を開けると百ドル札がびっしり入った封筒が!? チェーンで繋ぐくらいだから、確かにそれくらいは当然している筈だ! そう思うと、間違いなく当たっている気がして、やはりこのブリーフケースを開ける事が重要に思えてきた。早速、ツインロックの回転ダイヤルの一つを固定して始めることにして、今のツインロックが5と8を示していることからその前後の可能性が高いのでは、と考え、5の番号ダイヤルを3に固定してもう一方の回転ダイヤルを1から順番に回して上手く解錠する…