アイアムハウス
三
彼女はお茶を二人分テーブルに置きながら、言いにくそうに告げる。
「夏美さんなら、あったような……」
「え?」
「社長は知らないでしょうけど、『じゅっとう通信』で、ちょっと陰口言われてましたよ」
「見せてください」
深瀬が告げると、女性は自分のスマートフォンを差し出した。
「これです」
雑談、というタイトルの掲示板には、確かに悪口が書かれている。
『あの見た目だけ綺麗な料理、全部買ったものみたいよ』『自分で生けたお花って言ってるけど、花屋さんにやってもらっただけ』『あの人、働き始めたみたいだけどお金がないのかしら。外に引っ越した方が良いんじゃない?』『自治会費払えないみたいよ』など、攻撃的な文章が並んでいた。
「まあ……これだけで名誉毀損というわけではないですが、あまり品の良い内容とは言えませんね。そもそも、具体的に誰のことだと名前が書いてありません。これが夏美さんの話だと、あなたはわかるんですか?」
「ええと、夏美さんは、ここじゃないSNSで料理の写真とか上げてて、それなりに人気があるんです。だから嫉妬されてるのかなって。旦那さんも優しくて、お子さんも二人とも頭が良いって自慢してるって言われてて。働いてるって話も夏美さんのことだと思いますし。半年くらい前からこんな感じです」