アイアムハウス

「なるほど。私も秋吉家に行ってきたのですが、あの家は新築ではないようですね。リノベーションされている。ドアの脇や廊下には増築された箇所が見受けられました。特に浴槽やキッチンなど水回りは最新設備でしたし」

「はい、そうです。古家を買い取ってリノベーションしたんですよ。そもそも土地には限りがありますから、中古住宅を買ってリノベーションされる方は多いですし。秋吉さんの家は、藤市にあるリノベーション会社が改装したはずです。確か、『リノックス』って名前で、担当は前川さん……」

「リノベーション前に、そもそも家の購入のハードルが高いのではと思いますが、ローンや資金に困ったという話は聞いていませんか」

「お金のことは……でも、リノベーション会社は、土地購入も担当していると思うので、その前川さんという方が親身になってくれたんだと思いますよ。自宅の完成後も担当さんを誘ってアウトドアへ行ったり、家族ぐるみで付き合ったりしてたみたいです。

あ、そうだ。前にバーベキューに誘われて、夏美さんのご自宅の庭にお邪魔したんです。そのとき、その前川さんにもお会いしました」

「それはいつの話ですか?」

「今年の夏でしたね、八月だから、二ヶ月前です」

「なるほど。そのバーベキューは何人くらいのイベントでしたか?」

「ええと、夏美さんの家族と、私と、前川さんと、あ、冬加ちゃんのお友達もいましたね。全部で六人でした」

「六人? 七人では?」

「あ、その日、春樹くんはいなかったので」

そこから考えると、秋吉春樹は単に学校に行けないだけでなく、家族とも上手くいっていなかった可能性が窺える。他にも新しい交友関係が挙がってきたため、深瀬はそこを確認した。

「では、その冬加さんのお友達の名前はわかりますか」

「確か石山という名字だったと思います。女の子でした」