「やっぱり。私がいても孤独ってこと?」
「だから、違うって。……でもさ、半分正解かも。智子の友達とかも呼んで飲み会でもしようよ」
カマをかけたが、本音が出てきて智子は少し動揺した。
「じゃあさ、今は、お昼は一緒にね。それが条件」
「わかったよ」
「久しぶりにテラスルームでランチしようか」
「うん」
「じゃ、私は下に行ってランチを運んでくるからね。孝太は何かフルーツ取っておいて」
そう言うと、智子は軽量フレームでできた螺旋階段に向かい居住エリアに駆け下りていった。
高度6000メートル、外は音のない蒼空。ここには大気汚染物質も有害ウイルスも上がってこられない。地上の制御不能の真夏の熱暑とも無縁だ。
双胴の巨大飛行船の胴体上部にはアクリルガラス・樹脂膜と軽量フレームで作られたサッカーコート4面ほどの広くフラットな温室が設けられている。ストロベリーファームの区画は内圧により強度を保っている。遠くから見れば、2本のソーセージの上にウエハースを載せたような形だ。
双胴の飛行船の下部には吊り下がった船のような形の区画があり、そこに操縦室や二人の居住区、それにバッテリー・浄化プラント・タンクなどの設備がある。下部に配置された重量物が飛行船を安定させるバラストになっている。