第3章 
「地震予知」の絶望 ―後編―
またしても予知できなかった「3.11」

4.切迫する巨大地震・津波への対応?

② 首都直下地震

2012年春、中央防災会議は「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」(座長:野村総研顧問 増田寛也)」と「首都直下地震モデル検討会」(座長:東京大学名誉教授 阿部勝征)を設置。

「モデル検討会」は2013年12月、相模トラフの最大クラスの地震は相模トラフ沿いの数百平方キロメートルの断層面が平均8mすべるM8.7の巨大地震になると提言。

これに対して、「首都直下・ワーキンググループ」は「相模トラフの最大クラスを想定すると首都圏の被害が莫大なものとなり、海外企業の日本離れにつながる」として地震対策の対象から外した。

これに対して「想定外をなくす」という東日本大震災の教訓が生かされていないとの批判があったが、「首都直下・ワーキンググループ」は相模トラフ沿いの最大クラスの地震の発生間隔は2000年から3000年であるとして、防災対策の対象としないことになった。

防災対象となったのはフィリピン海プレートの内部で起きるM7.3の都心南部地震とした。

2013年12月の被害推計、最大(冬・夕、風速8m/s):

死者2万3千人(内東京都1万3千人)

焼失41万2千棟、全壊19万8千棟、

経済被害47兆4000億円

2013年11月22日「首都直下地震対策特別措置法」成立。(10都県の310市町村を緊急対策推進区域に指定。)