次の日私服を持参で登校。下校時に着替えると敵情視察、いざ出陣。
姉妹校の貴檣高校は歩いて二十分くらいのところにある。元々は男子校であったのが近年の風潮で共学校になったのだが、やはり圧倒的に男子が多い。女子は施設的に不便さもあるが、割と厚遇されている様子である。羨ましーい。
「みんないい! 私服だから混ざっても、わからないだろうと思うけど、目立った行動は取らないこと。三手に分かれて撮影及び出し物のチェック。私と陽は中央、詩と大和は西棟、颯太と蓮は東棟ということでお願い。一時間後に校門前に集合ね」
「OK!」「任せておけ」
それぞれ声が上がる。
「じゃ陽、私たちも行こか」
へー、ずいぶんと普通なんですけど。模擬店は焼きそばにフランクフルト。柚子のいる富檣高校でも去年出したようなラインナップだった。それと飲み物もこれといって特徴がない。見るまでもないんじゃないのと柚子は思ったが、陽があることに気付いた。
「ねぇ柚子。器、見てごらん、紙だよ。環境に優しいね。それにペットボトルの回収にもアイデアがある。分別して捨てるとポイント券渡すようになっているみたい。五枚集めるとフランクフルト一本だって。エコに気を配りながら、楽しみも与えている。考えたねぇ」
「そんな五本も飲めないよ」
「意識の問題だよ。少しのことから、エコへの取り組む姿勢を、高めていこうと、無理のないやり方で導いているというか。そういうことなんだよ」
「そういうもんなんですかねぇー」
と投げやりな私。とにかく情報集めは時間を区切っているので早く見て回らなければ。
「次行こう。中央棟は模擬店ばっかりだねぇ」
「詩たちの方へ回ろうか、どうする? 陽」
「もう少し細部まで、見ていこうよ 」
「えぇーもう十分だと思うけどなぁー」
【前回の記事を読む】【先行配信】ライバル姉妹校との恒例バトル!指定校推薦枠は、学園祭の出来によって勝ち取れる。
次回更新は9月29日(日)、20時の予定です。