第一章 学園祭は決戦の場

そんなことを言い合っていたが、時間もないのでやっぱり詩たちのところへ回ろうと歩きながら話していると、阻むように数人の人垣があり仕方がないので右に曲がると、またまた人垣で塞がれていて、左に曲がらざるを得ない感じになり。

何か見えざるものに誘導されているような感じだと思いながら進んでいくと、何とそこは・・・

『学園祭実行委員会議室』と書かれた立て札が。

ビックリして棒立ちになっていると、中から扉が開かれにこやかな顔であるが有無を言わさない感じで言われてしまう、

「どうぞお入り下さい。委員長がお待ちしております」

中央正面に座っていた眼鏡くん。インテリ風の男子が笑いを含んだ顔で立ち上がると、

「初めまして。富檣高校の松本さん。私は貴檣高校学園祭実行委員長の柘植正巳(つげまさみ)というものです。我が学園祭は一応他校の人を入れないのですが、姉妹校であり学園祭実行委員の方々が来ていただけるとは嬉しい限りです。どうですか楽しんでいただけたでしょうか」

くっそーーやられた!

詩や颯太たちまでいるよ!      

                 

「えー、私たちのことをよくご存じで。あの楽しませてもらいましたから。もうそろそろ帰ろうかなーーと思っていたところなんです。じゃーみんなしっ、失礼しようか」

と柚子はもつれる舌で言う。

「何か参考になることがあったのならよろしかったのですが。今後は隠れて来られなくとも一報いただければ正面玄関にてお入りいただけますから」

とあの眼鏡。顔が良い分よけいに憎たらしい。

「私たちちゃんと正面から入ってきたわよ」

大声で言い切る柚子に服を引きながら小声で陽が言う。

「そういうこと言ってんじゃないのよ」

辺りに飛び交う冷笑と、見下したような眼差し。三十六計逃げるに如かずとか、

「じゃ次回からは、そうするよ! よしみんな帰るよ」

別に繋がれてたわけではないから扉に急ぐと、後ろから嘲笑と共に眼鏡くんに言われた。

「それでは富檣高校の学園祭。招待してくれたまえ。楽しみにしている」

柚子は心の中でこんにゃろー!と毒づくも、無視を決め込み急いで退散した。他のメンバーも柚子に続き、貴檣高校の校門をほとんど小走りで出ていく。