第二章 日本民主保守党と先立つもの
「うーん、一言で説明するのは難しいけど、『正論』を少しでも広めたいという熱い思いとでもご理解して頂けたならありがたいんだけど……」
と煙に巻く様な事を言った。
「『正論』ですか? なんかすっきりしないけど先生がそう仰るのでしたなら、そういうことにしておきましょう、それで私に何をしろと?」
と今度は質問をぶつけてきた。
「そうなの、あの政党助成金とやらが欲しくて……お宅の党から少しだけ議員先生を分けて貰えないかと思って……」
と冗談めかして言うと、
「何ですって、うちの党から議員を引き抜くと言うのですか? そんな事、幹事長の私が許しませんよ!」
といきなり売られた喧嘩を買うかのように少し声を張り上げた。
「あら、不祥事を起こした議員さん達の離党はすんなり認めてあげたじゃない? 同じ様に嫌気のさした議員さん達にもすんなり離党を認めてあげて欲しいだけなんだけど……」
と武藤らしく言うと、
「あれとこれは違いますよ、あれは離党して貰うことが当然であって、貴方の党へ移る議員は恩ある党への反党行為だ!」
と少し怒りを込めて言い出した。すると、
「あら、大阪で自分の党じゃなく他党の候補者の応援に党籍のある貴方の大先輩の幹事長経験者が明らかな反党行為をしたのに対して幹事長はどう処分したの? 除名した?……」
と逆に質問し、
「貴方は私に喧嘩を売りに来られたんですか?」
と完全に怒った表情で言い放った。
「いいえ、私は政党助成金が貰えるだけの人数の議員を拝借させてとお願いに来ました。その上で私の党がターゲットにするのは日本政府を『〇民』したなどと選挙でアジるミニ政党と呼ばれる日本語の意味を理解していないような政党、コロナワクチンの注射代を払った日本国民って居るの?……私は日本に住んで居てコロナワクチンの接種を二回受けたけど二回とも日本政府に無料で接種して頂いた。
『〇民』なんてされていない! そうでしょう、与党の幹事長なのに何で黙っているの? もっと激しく反論したらどう?」
と武藤が語気を強めて問い詰めると、
「……先生はあの発言にお怒りだったんですか、確かに政府を預かる我が党としても『〇民』という表現には党内から反発が上がっていました、先生達が我々に代わって彼らと言論で戦ってくれると言うのですか?」
と幹事長が丁寧な口調で訊ねた。