第3章   私が知っている私のこと

出会い 学生時代 

自分勝手な思い込みで、新しい環境に積極的に馴染もうとしませんでした。ぼんやりとした希望はありましたが、自宅からバスで30分ほどの通学さえ面倒でした。その割には、毎日退屈していました。

6月頃になってクラスゼミの代表になった同級生が、心配して連絡をくれました。せっかく声をかけてもらったのだから、ちょっと大学の様子でも探ってこようかと登校したのが最初でした。ゼミに顔を出すと、サークル活動にすでに参加している人や学生運動のメンバーから勧誘があり、急に慌ただしい毎日になりました。

学生会館には多くのサークルや学生自治会の部屋があり、おもちゃ箱をひっくり返したような有様でした。雑多という言葉そのものでした。何だか場違いな空間に迷い込んだという気分でしたが、活気だけは伝わってきました。

サークルには同じクラスゼミの女の子が熱心に誘ってくれて、何となく加入することになりました。学生運動には民青同盟のオッコさんという浅田美代子似の子に誘われました。私にはその子の学生運動や政治活動に対する熱い思いが新鮮でした。浅田美代子さんは、その頃の若者のアイドルでした。

思い出せばオッコさんとは、ポリティカルでプラトニックな思い出が抱えきれないほどあります。

学生運動では、全学連の夜行列車、中央大学でのオルグ、代々木公園、新宿アーケード街、ビラ配り、選挙応援、授業料値上げ反対闘争、筑波大学法案反対などの文字が浮かんできます。興味本位に顔を出していたというと不謹慎ですが、どちらかといえばそうでした。