第一章 トップ会談と候補者擁立

「……なるほど政党助成金か、国会議員八人だと三億を超える金額が……?」と山脇が口にすると、

「先生、それは狸の皮算用ってものです。私は、国家観、政治理念、政治信条、公平性、順法精神、倫理観等で一切妥協する心算はありません! これらの項目一つでも疑念を抱いた人には参加して欲しくないのです。だから候補は八人ですけど最終的には必要最小限の五人は確保するとしてもあと一人くらいでは?と考えています。

そもそも選挙という政治家にとって避けて通れない洗礼に対して、完璧なまでにいい意味で自己完結できない人とは組む心算はありません、それは面接試験を受ける際の前提条件です。その上で先程の項目をクリアーする事が私の立ち上げる政党に参加する条件です」と武藤が言う。

「確かに選挙対策として、我々の党を利用されては堪らん、そもそも党首の人気や党の人気にあやかって当選できる事自体がおかしいと思っていたんだ。いい意味での自己完結、大いに結構!」と言って山脇が武藤の考えに同調した。

重ねて、「政党助成金の起算日は確か一月一日だからあと二か月しかないぞ、その面接試験急がないと……」と山脇が武藤を急かした。

「大丈夫です、最初の面接試験は明後日で二人予定しています。先生立ち合いの件、スケジュール的に大丈夫でしょうか?」と武藤に言われ、山脇はスケジュール手帳を出して、確認し、その日は終日国家戦略企画研究所詰めだと告げると、「それなら問題ありませんね」と安堵の表情で武藤が言った。