「今井さん、ありがとうございました。こんなに絵を時間かけて見るの、初めてです」
夕食は今井さんが予約していたフランス料理のフルコース。お肉も美味しかった。香ばしいコーヒーとデザートを食べた。
「もしよろしければ、教室の帰り絵を見たり、食事をしたり、買い物をしたりしませんか」
私は少し戸惑いながら、
「時間があるときは大丈夫です」
「良かった。ありがとうございます」
後で何故、良いと言ったのか少し後悔した。
しばらくは男性と距離を置きたかったのに。支払いは割り勘にした。今井さんは困っていたが、私と会う時は割り勘と決めた。
週末は孫四人がお泊まりだ。ゲームしたり、外食したり楽しく過ごして、四時過ぎ息子達が迎えに来た。
「ばぁばぁ、楽しかった。又来週ね。ありがとう、バイバイ」
帰っていった。夕飯は昼の残り物とビール。あとは、韓流DVDを見てゆったりとした時間を過ごした。
火曜日、絵画教室だ。
何着ていこうかな。先日買った若草色のブラウスに黒のパンツ、モスグリーンのアウターで少しおしゃれした。教室に入ったら今井さんが準備していた私を見て軽く会釈をした。私も返した。
楽しい時間、直ぐ過ぎた。
「今日はお時間ありますか?」
「二時間でしたら大丈夫です。夕方は予定が入っています」
「分かりました。近くのカフェでお茶でもしましょう」
自分でホットカフェオレを注文した。世間話をして六時前に、
「すみません。約束があるので、失礼します」
「来週は時間を空けていて下さいね。素敵なレストランに阿部さんと行きたいです」
「分かりました」
何か、今井さんって率直に話す方だ。面と向かって言われるとドギマギしてしまう。
友人達と待ち合わせでおしゃべりしながらお夕飯を頂いた。唯一結婚している裕子が離婚をすると切り出した。
「旦那とたくさん話し合いをしたんでしょう? だけど、ゆりのように一人で生きていけるように財産は頂きなさいよ。ゆりは最近どうしているの?」
「今、すごく幸せよ。好きな時に好きなことができるし、楽しんで生きているよ。裕子も好きなように生きていけるよ」
今、不安でいっぱいだろうな。私もそうだった。
【前回の記事を読む】「しばらく、男性はいいの」しかしカフェで出会った男性と偶然の七度目の再会。本当に縁があるのかな...
次回更新は9月8日(日)、20時の予定です。