第1章 試行錯誤の毎日─リハビリ・介護生活から現在まで─

明日への思い出作り クルーズ、引っ越し、温泉巡り 

風景は全く変わっても、あの頃のなごりはどこかにかすかに漂っているようでした。白樺湖や諏訪湖では懐かしさに何度も取り囲まれました。

最近では当たり前かもしれませんが多くの温泉やホテルでは、車椅子でも不自由なく宿泊でき楽しめることが分かりました。

車椅子も、ほとんどどこのホテルでも備え付けてあります。入浴に必要な補助備品も用意されています。客室もレストランもその他エントランスやロビーなど、車椅子でも気持ちよく利用できます。駐車場も細かなことを言えばきりはありませんが、車椅子専用スペースがあり便利に利用しています。一般の車両が止まっていることも、ほとんど見かけません。

住み慣れていくうちに分かってきたことですが、これは宿泊施設だけでなく公共のホールや美術館、博物館などでも同じようでした。以前暮らしていた場所での何十年間よりももっと多く、コンサートや観劇そして美術館に出かけるようになりました。交通渋滞や人込みへの気遣いもなく、ストレスフリーで楽しんでいます。

もちろん信州だけではなく、全国どこでもバリアフリーが当たり前になってきているのでしょう。移り住んできた私たちにとっては、地元がまるごと観光地です。地元で少し足を延ばして楽しんでいます。まだまだ知らない所や、行ってみたい場所ばかりです。それどころか何度も訪れて、顔なじみになったところも増えてきました。

ここ伊那谷に移り住んできた頃、この場所に決めた理由をよく聞かれました。