第2章 二人の出会い

健常者スポーツと障がい者スポーツの違いって

しばらくして、夫はアンプティサッカー日本代表候補として合宿に参加することになった。

「日本代表合宿ってどこであるの?」

「関東みたい」

「面白そうだから、私もついて行って良いかな?」

「え? 一緒に行くの?」

「ダメ? 一眼レフ持ってるしさ、カメラマンとか言い方あるじゃん」

「一応、協会には言ってみるけど」

かなり無理を言って、私も日本アンプティサッカー協会の日本代表強化合宿にカメラマンとして参加した。メキシコW杯を目指した強化合宿だったが、サッカー経験がない夫にとっては難しい内容だった。チームプレーの戦術は難しそうで、身体で覚えるようにがんばっていたことが印象的だった。

一番印象に残ったのは、クラッチを使った三十メートル走だった。このとき、誰よりも速く走ると宣言していたが、本当に誰よりも速い結果を出していた。全国の選手と一緒に汗をかき、苦しんだり、笑ったりする姿を見て、スポーツって本当にいいな、と感じたのだった。

メキシコW杯への切符を手に入れることはできなかったが、アンプティサッカーを競技として楽しみはじめたようだった。彼との将来については、とにかく考えて考えて、なかったことにすることも想像してみた。でも、アスリートとして「逃げる」という自分が許せず、人生の勝負をしてみることにした。