第2章 二人の出会い

健常者スポーツと障がい者スポーツの違いって

その後、事故から起こったことをいろんな人に聞きながら、正典の過去を調べはじめた。届く郵便物は、すべて私が確認することにした。障がいを負ってから買ったという車検が切れた六百万円の高級車。ふだん乗っていた軽自動車。なぜか高級なマイホームも、すべて整理が必要だと考えて、すべて売却。相殺して残った借金は総額五百万円。年金も担保に入っている始末だった。

この状況を解決するにはどうしたらいいんだろう。思いついたのは専門家に相談することだった。

「無料の弁護士相談があるから予約したよ」

「弁護士相談?」

「そう、少しでも解決方法があるかもしれないじゃん」

私は、勢いで無料の弁護士相談会場に引っ張っていった。

「いろいろなところに借金があって、整理したんですが、五百万円残ってて……」

「これは……」

「何か良い方法はありませんか?」

私が詰め寄っても、弁護士の表情は明るくならなかった。

「自己破産しかありませんね」

「え」

私は言葉を失った。

「利息を払えていませんからね」

他に方法があるかと思って弁護士に相談に行ったのに、まさかの最後通告を突きつけられた。会場を出たところでぽつりと、

「俺、自己破産はしたくない」

「したくないって、これまで自分がしたことじゃないの?」

「俺、よく覚えてなくて、なんでこうなったかわからないんだよね」

お金の管理はできない。時間の管理もできない。社会人として致命的だと思ってしまった。

「私に少し考える時間をちょうだい」

正直、この人といたら、大変なことしかない。結婚しているわけでもないから、いつでも離れられる。私は彼をサポートする義理はないはずだった。が、どうも人情だけはあるようで、良いのか、悪いのか、私の嫌いな言葉は「逃げる」だった。困っている人を放り出して、逃げていいのか。自問自答した。