高垣は「承知しました」と答え、「ショウは必ず間に合う保証は無いですが、出来るだけ都合を合わせるようにショウへ伝えます」と約束し丁寧に挨拶の上電話を切った。

高垣は翔がスコットランドとウエールズ戦の二度目の再試合を見に行ったとはとても言えなかった。前回の試合は、ハーフタイムで帰るように指示した事も有り、翔には強く言えないな、と思い翔に意向を聞いてそれに合わせようと考えた。

翔に連絡を入れると直ぐ出たので副大臣の話を伝えた。

其れを聞いて翔は「今回も途中で帰るのは出来ればちょっと……」と言い淀んだ……。

「何とか高垣さんと西田さんで上手く王子様のご意向を伺って頂けると有難いのですが……」と言った。

高垣は翔へ電話する前に王子のご意向は挨拶か、わざわざ来られたいとの事なので何かお礼かな?と思っていたので、翔に「分かった、此方で西田と一緒に何とか対応する」と返答し電話を切った。

高垣は直ぐ西田を呼び王子からの話と翔の答えを伝え、「明日の四時に見えるので一緒に対応してくれ」と頼んだ、西田は「了解です」と答え「わざわざ見えるとは何でしょうね?」と言いながら席へ戻って行った。

翌日夕方四時に王族グループがお見えになり、英国四井物産は大変な騒ぎになっていた。会社にかつて王族が訪れた事が無く、社員は興味を隠さないで入口には大勢の社員が集まり、一部は王族の旗を振り、皆で拍手をして迎える事になってしまった。

会社の入口へ横付けした車からシュマーグを被りカンドゥーラを羽織った背が高いハンサムな王子とヒジャブをしたアバヤの同じく背が高い美しい王女が降りると華が咲いたように明るくなり、皆オーラのようなものを感じて拍手が大きく響いた。

高垣支社長が前に出ると、次の車から同じくシュマーグを被りカンドゥーラの大臣らしき方が降りて来て前に出て自己紹介の上、高垣支社長と握手しさっと斜め後ろへ引いて王子、王女を紹介した。