愛しき女性たちへ
二
ホステスでも付き合いが長いとそんな身の上話も聞くことになる。
そんな幸恵が愛おしいと秀司は感じている。聞いたところでどうにかしてあげられるわけでもないのだが、二人で会って他愛の無いおしゃべりをしたり楽しく食事をしていると、幸恵を守ってやりたいと思うのだった。
幸恵は秀司のことが好きだと言っていた。商売上のリップサービスがほとんどだとしても、お店を変わるときの面接に同伴してもらいたいと思うのは秀司だけらしく、事実、
「秀司さんに一緒に行ってもらって、どちらのお店がいいか意見を聞きたいの」
などと嬉しいことを言うので二回ほど付き合ったこともある。
だが秀司は幸恵の人生を変えられるようなリッチな人物ではない。出来ることなら家賃分くらいの支援はしてあげたいと夢を見たこともあったが、もちろんそんな身分ではない。
第一秀司には、女に入れあげて家庭を壊すなどということは考えられないのだ。秀司は自分が妻の裕子を大切にするある意味固い人間だと自負している。子供たちをしっかり育て上げ、二人でゆっくりと引退後の生活を過ごすことが自分の人生の目標なのだ。
「結局女は男の人次第なんですよ」