瑠璃はカレーライスを食べながら、
「高瀬先生、お兄さんから連絡を受けていらしたので、検査も入院手続きもスムーズにいったわ。今日は血液検査、尿検査と腹部超音波検査だけでした。
明日の午前中診察があって、今日の検査結果を踏まえて、超音波内視鏡検査するかどうか判断することになりました。ただ触診で、みぞおちを先生が両手で押したときは、そんなでもなかったのに、うつぶせになって先生が背中の胃の付近を押したら、激痛が走ってひどく痛がっていたわ」と瑠璃は診察の経緯を説明した。
真一は瑠璃の説明を聞いて、
「そうか、そんなに痛がったのか」と呟いた。
華音は、
「おばあちゃん、何もないといいけど……。超音波内視鏡検査ってどういう検査?」と瑠璃に聞いた。
「胃カメラと同じようなものらしい。お母さんの場合、口から超音波内視鏡を入れて検査するみたい」
真一は二人の会話を聞き、
「あれこれ話しても、先生にお任せするしかないだろう」と言って遮った。
その日の晩ご飯は、三人ともそれ以上話をせず食べ終えた。
「紅茶でも入れましょうか」と瑠璃が聞いた。
「飲みたいな」と二人とも言った。
真一は紅茶を飲みながら、
「瑠璃、ところで明日何時に病院に行くんだ?」と聞いた。
「明日、病院には八時半に行くとお母さんに伝えました」
「そうか。あす大学の午後の講義が一コマだけだから三時過ぎに終わるので、帰りに病院に寄りたいんだが、それまで待っててくれないか。高瀬先生にご挨拶しておきたいので……」と瑠璃に告げた。
瑠璃は安心した様子で、
「ありがとう、真一さん。私一人じゃ心許なくて、あなたに頼もうと思っていたの……」と胸をなでおろした。
「多分、四時には病院に着くと思うから……」
「六時が夕食の時間なの。夕食までの時間、お話しするのに都合がいいかも知れませんね」
「それじゃそうしよう」
【前回の記事を読む】腹部超音波検査で膵臓付近に〝しこり〟らしいものが見えるということで再検査をすることに…