翌朝、皆早めの朝ご飯を終え、瑠璃は病院に向かった。その日も混んでおらず、八時半前に着いた。早速エレベータで八階に行き、文子の入院している部屋に入った。同室の方に軽く会釈し、母のベッドの横に座った。母は丁度朝食を食べ終えたところだった。「お母さん、おはよう」と瑠璃は母に声をかけた。振り向いた文子は、元気そうだった。「瑠璃、やはり時間通りにきたのね。昨晩はあまり寝れなくて、窓から海を眺めていた。遠く…
[連載]氷上の蠟燭
-
小説『氷上の蠟燭』【第11回】安達 信
「先生、何もかもお任せいたします」担当医師から超音波内視鏡検査の説明をされるが母は何を質問していいか分からず...
-
小説『氷上の蠟燭』【第10回】安達 信
「おばあちゃん、何もないといいけど……。」家族の夕食時は母の病状の報告会。腹部の触診でひどく痛がる母、超音波内視鏡検査を受けることに...
-
小説『氷上の蠟燭』【第9回】安達 信
腹部超音波検査で膵臓付近に〝しこり〟らしいものが見えるということで再検査をすることに…
-
小説『氷上の蠟燭』【第8回】安達 信
「イタ、イタタタタ……。先生、痛くて仕方ありません」と激痛をこらえながら…
-
小説『氷上の蠟燭』【第7回】安達 信
明治生まれの義母。代々呉服商人だった母方は三姉妹で婿養子をとることに
-
小説『氷上の蠟燭』【第6回】安達 信
持つべきものは親友。相談したその場で膵臓癌の検査入院日が決定!?
-
小説『氷上の蠟燭』【第5回】安達 信
「人間ドックで膵臓癌の疑いありとの検査報告書が届いたんだよ」と相談を受け…
-
小説『氷上の蠟燭』【第4回】安達 信
合唱コンクールで歌う楽曲…楽譜を見た顧問はため息をついた
-
小説『氷上の蠟燭』【第3回】安達 信
【小説】コンクールの自由曲に『イマジン』を提案した合唱部のキャプテン。その理由は
-
小説『氷上の蠟燭』【第2回】安達 信
【小説】家族で食べるブリしゃぶ。思い出話で盛り上がるも、義母の膵臓癌を意識してしまい…
-
小説『氷上の蠟燭』【新連載】安達 信
【小説】人々の怨恨の煙火が、まるで青白い紫陽花のように美しく…