【第四章】
1 自宅での闘い
■2021年12月19日
自宅に帰った翌日。動かない左脚を初めて湯船に浸けた。左脚は温かさを感じない。神経にトラブルがある。毎日温めマッサージして、少しずつでも治してあげると約束した。ごめんなさいと妻は涙を流した。
看護師やリハビリの医師から指導を受けた通り、妻は少しだが家事に触れつつ、リハビリを再開した。ベッドから歩行器で移動して豆腐皿を取りに台所に行くことも大切な運動。
洗濯物を一枚だけ干してみた。事故前は簡単にできた単純動作がうまくできず、時間がかかることに妻は涙ぐんだ。「大丈夫、時間は沢山ある。ゆっくりやろう」と励ました。
■2021年12月20日
昨夜も左脚の痛みと事前に感知しない排泄機能のために、1時間ごとにトイレに出向き朝を迎えた。明日は通院初日。早速、第二の故郷に戻ることになる。
リハビリトレーニングは週3回実施予定。動かない左脚はお湯につけてもやはり温かさを全く感じない。感じるのは強烈な痛みとしびれのみ。何が原因なのか? 原因究明に向け悩み苦しんだ。
「師走の追い込みで皆さん忙しい中、妻の回復だけに取り組ませて頂くことを申し訳なく感じています」
2 PDCA
■2021年12月21日
病院のリハビリ室でまずは右脚を強化した。左脚を引きずりながら松葉杖で歩く訓練は、妻には異次元のことだった。これまでの人生で経験したことがないことばかりの連続。
全ての痛みを共有してあげられれば、どれほど幸せなことだろう。帰り道、ホームセンターで卓上カレンダーを買い、「1月から3月の闘傷計画」として記載した。
入院中「闘傷日記」と私が勝手に名付けた大学ノートの記録簿には、24時間記録し続けた。これからは「二人の闘傷日記」として、闘うためのPDCA(計画・行動・評価・改善)を記載して、繰り返し実践していく。壁にぶつかったら方策を変えてでも闘う。